第26話 第三者行為届を申請!20割も支払った治療費は取り戻せるのか!?

第26話 第三者行為届を申請!交通事故体験記

前回(第25話)の記事はこちら

前回(第25話)のあらすじ
  • 相手加害者から2度目の電話があった旨をまぴお側の任意保険会社へ情報共有した
  • 前回連絡時と比べて保険会社の担当者は好印象
  • 交通事故証明書は甲欄が相手加害者、乙欄が私まぴお
  • まぴお側保険会社担当から、相手加害者に連絡をしてもらうも反応なし

前回までの数話は、主に弁護士ヒロ君オススメの病院へ行ったことや、相手加害者から2度目の連絡があった話を書いてきました。

今回は相手加害者からの連絡を待つ間に、実際に「第三者行為届」によって、治療費を精算した話を書こうと思います。

第三者行為届をおさらい

16話、22話でも書きましたが、ここでも少しおさらいしておきます。

例えばあなたが怪我をして病院に行くと受付で必ずこう聞かれると思います。

「お仕事中のお怪我や、交通事故によるお怪我ではないですか?」

これ、そもそもどういう意味なんでしょう??

日本は国民皆保険制度なので、みなさんが健康保険に加入していますよね?

自営業の方だったら「国民健康保険」だったり、お勤めの方だったら「協会けんぽ」や「組合健保」なんてものがありますよね。

ここでは健康保険の細かい説明は省きますが要は、自分で転んで怪我をし、病院に行って、

「保険証出して下さい。」

と言われて保険証を提示すると、治療費が3割負担ですみますね?

しかし、交通事故で怪我をした場合はそう単純な話ではありません。

健康保険は自分が原因で怪我をした場合の保険です

毎月払っている健康保険料は、基本的には自分自身が原因で病気になったり怪我をしたりした場合に備えて、支払っているというわけなんです。

薄着をして風邪ひいたり、階段踏み外して転んで怪我したり・・・そんな場合でも治療費が3割で済むように毎月保険料を支払っている、というわけです。

※ただし、正確言うと日本は国民皆保険ですから、自分で自分に保険をかけているというよりも、相互扶助の意味合いも強い制度なんですけどね。ここでは第三者行為を説明するために、ある程度簡略化して考えていきます。

自分が病気や怪我で困ったときのために、保険料を払っているという考えは自然ですよね。

がん保険も基本的には、自分ががんになったときに困らないためですよね。

これに対して、健康保険が使えないのは以下のような場合です。

まずは、仕事中の怪我・病気(業務上の災害)。

これは労災として扱われるので労災保険で対応するものです。

したがって、健康保険は使えません。

次に、第三者の行為による怪我・病気。

これも加害者が負担するべきものですので、健康保険は本来は使えません。

交通事故の被害にあった時は誰が原因か

ここで、交通事故の被害にあった場合を考えてみましょう。

話を単純化するために

「青信号を渡っていたら、信号無視の車にひかれて怪我をした」

と、こんな場合を想定しています。

この場合は、どう考えても車側が100%悪いですよね。

これは、被害者(歩行者):加害者(車)の過失割合は0:100となるわけです。

被害者は怪我をしたのですから、病院に行って治療しますよね?

保険証を出して3割で治療・・・?

ちょっと待ってください。

先ほど、健康保険は、

「自分が怪我をしても3割で済むように、毎月健康保険料を払っている」

と説明しましたよね?

でも、信号無視の車にひかれたってことは相手が100%悪い。

それなのに、自分が毎月払っている健康保険を使って治療するのはよくよく考えると変ですよね。

上で書きましたように、

第三者に怪我をさせられた場合、本来なら、怪我をさせた加害者側が治療費を払うんです。

交通事故の原因は加害者ですから、自分のために毎月支払っている健康保険料の恩恵をこのような怪我で使うのはおかしいですよね。

だから、怪我をして病院に行くと最初に必ず、

「お仕事中のお怪我や、交通事故によるお怪我ではないですか?」

と聞いてくるわけです。

交通事故の治療費を払うのは誰?

そうなると、3割負担ではなくて病院側が自由に治療費を決めることができるので、10割負担とか場合によっては20割負担とかになるのです。

そしてその治療費は、被害者を怪我させた加害者側が負担します。

加害者としては被害者の怪我の程度によっては高額な治療を支払わなければいけません。

そのために、自分が加害者となって他人を怪我させてしまったときの治療費を払うことに備えて、任意保険に加入するのです。

「対人対物無制限」とか保険の証書に書いてありませんか?

これは、自分が加害者になってしまった際に、被害者の治療費を払う場合にその治療費を無制限に任意保険会社が負担してくれるよということです。

加害者がすぐに対応してくれない場合は?

通常は交通事故を起こしたら、加害者はすぐに自分の任意保険会社に連絡するので、あとは保険会社の担当者が被害者側と連絡をとって治療費の支払いなどを事故の当初から任意保険会社が肩代わりしてくれます。

しかし、加害者側が逃げたり、任意保険に入っていなかったりなど、加害者側がすぐに対応してくれな場合はどうなるのでしょうか?

怪我を放置するわけにはいきませんから、自分で治療費を支払うしかありません。

だって、加害者が払ってくれないからといってそのままにできませんよね・・・。

そのときに、健康保険が加害者が負担するはずの治療費を立て替えるという形で

被害者は健康保険を利用することができるのです。

(もちろん、後から健康保険は立替分を加害者に請求します)

というわけで、健康保険を利用する際に

加害者等の情報が記載された

「第三者行為届」

というものを提出するのです。

第三者行為届とは

第三者行為届。

こんな単語、今まで生きてきて一度も聞いたことが無い単語でした。。。

では説明していきますね。

まず「第三者」というのは交通事故の加害者のことです。

つまり、交通事故加害者の行為によって、怪我をしたという届出です。

ではこの届出は誰が誰に対して提出するのかというと、

被害者が、自分の加入している健康保険に対して、

「交通事故の怪我なのですが、相手が対応してくれないので、自分の健康保険を使って3割負担で治療をしたい」

というのを届け出るのです。

これによって、ひとまずは自分で病院に通う場合であっても、10割や20割の高額な治療費を払うことなく、交通事故の怪我であっても3割負担で治療ができるのです。

かなり助かりますよね。

実際に第三者行為届を提出した話

さて、私、まぴおの場合ですが、相手加害者のおじさんがなかなか連絡が付かず、いままで仕方なく治療費を20割で自己負担で支払ってきました。

相手加害者のおじさんとは電話連絡はついたものの、加害者側の任意保険会社からの連絡はありません。

相手が対応してくれないと、それまで20割での治療を余儀なくされます。

そこで、私は第三者行為届を出すことで少しでも直近の出費を抑えることにしました。

最悪、このまま相手加害者が全く対応してくれない、となったら20割負担はキツイですからねぇ・・・。

自分の健康保険組合に電話で知らせる

実際は、自分の加入する保険組合から書類一式を送ってもらい、何枚にも渡る書類に記入して返送し、受理されることで第三者行為届が完成します。

しかし、その間時間がかかってしまいますよね。

書類の何枚も記入すべきものがあって結構大変です。

ほとんどの健康保険組合は、電話口で知らせた段階から前倒して第三者行為届を申請してくれたと見なしてくれます。

具体的には、健康保険組合の第三者行為届の担当部署の方に電話をすると、

健康保険組合の担当者「治療先の病院に、この電話番号を伝えて、まぴおさんから病院へ第三者行為届を申請しした旨を伝えてください。そうすれば、健康保険を使った治療を受け付けてくれるでしょう。」

という風に言ってくれると思います。

後日、郵送で第三者行為届の申請書類一式が届きます。届いたら記入して、返送します。

これで、第三者行為届の申請は完了です。

実際に支払い済みの20割治療費は取り戻せるのか!?

第三者行為届を申請した上で、すでに20割もの治療費を支払った病院に伺いました。

この時のことは第8話にて詳しく書いています↓

病院の受付で、

すみません。
先週、交通事故の治療で20割の治療費をすでに支払っているのですが、昨日、第三者行為届を申請しました。
よって、3割負担が可能となるので、20割で支払った分を再計算してご返金をお願いできないでしょうか?

この様に伝えました。

受付の方はなんだか面倒くさそうな様子です。

・・・・。

・・・・。

しばらくした後、

「先月より前の分はすでに処理が終わっているために、ご返金には応じられません。今月中の治療費分でしたらなんとかなります。」

「それから、領収書が無いものは今月中であっても返金には応じられません。」

わかりました。領収書は持ってきています。それから、支払い済みの20割は今月の話なので大丈夫です。
(あぶね~~、月が替わる前に来てよかった!)

良かった!返金してもらえそうだ!!
これ、来月になってから来たら、返金してもらえないところでしたよ。。。

というわけで、

一旦病院の受付の方から、今月20割で支払った分を全額返金してもらいました。
(この時は20割で支払った領収書が必要です。捨てないように!)

そして、今度は3割で計算し直してもらい、その額を改めてお支払いしました。

いや~20割負担と3割負担だとかなり金額が違いますよね。

よかった、よかった。

本来、病院側は交通事故でも3割負担で治療すべき

弁護士のヒロ君が言うには、本来ならば病院は交通事故であっても、3割負担での健康保険を使った治療を拒否できないはずだとのことです。

しかし、現実的には多くの病院が交通事故の怪我の場合、健康保険を使った3割負担の治療だと儲からないので治療を拒否するのだそうです。

病院に対して、ただ単に

「交通事故の怪我ですけど、健康保険で治療してください」

と伝えるだけだとほとんど拒否されてしまいますが、第三者行為届を申請した上で、

「自分の健康保険組合に第三者行為届を申請したので、健康保険を使った3割負担の治療を希望します」

と伝えた方が、病院側が健康保険を利用した治療に応じる確率がグッと上がるそうです。

今回の内容をまとめました。

今回のまとめ
  • 交通事故による怪我であっても健康保険は使える
  • 自分の加入する健康保険組合に第三者行為届を提出しましょう
  • 既に支払い済みの20割負担分でも、当月分なら返金してもらえた
  • 事故の領収書は返金の際に必要となるので必ず取っておくこと
  • 本来、病院は健康保険による3割負担治療に応じるべきである
    (第三者行為届を提出すると応じてもらえることが多い)

第27話に続く!!

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